時には優しく…微笑みを
七海と食事に出かけた先で、おなじ営業部の田中さんから課長が女性と会っていた話を聞いた私は、分からない気持ちに戸惑っていた。

あ、早くマンション出て行かなきゃ。
いくら会社の部下だからって、女性と同居してるなんて、彩奈さんって言う人が知ったらショックを受けるだろう。

決まるまで七海の家に行かせてもらおうかな…いろんな事が頭の中でグルグルと回っていた。


休憩が終わり、仕事に戻った私は課長に呼ばれた。

「櫻井、これ頼めるか?」

「はい。いつもの、ですね?分かりました」

いつもの、課長は変わらない。
憧れている人に彼女がいた、ただそれだけ。
アイドルに対する気持ちと同じ。
すぐにそんな気持ちも忘れてしまうだろう…私はそう思った。

「なんかあったのか?顔色悪いぞ?」

「あ、昨日、ちょっと夜更かししてしまって」

課長を待ってた、なんて言えないし、言う気もなかった。

「そうか?無理するなよ?」

「はい、大丈夫です」

動揺を感じ取られないように、私は机に戻った。
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