時には優しく…微笑みを
「昨日は…すみませんでした…。じ、状況…が理解出来ました…」

ここ数日、私の周りで起こった中で一番の出来事だった。
課長に抱かれたまま眠るなんて…、私は一体どうしたらいいんだろう?

ただでさえ、課長の家にお世話になっているのに、それなのに、一晩抱きしめてもらっていたなんて…

考えただけで顔が赤くなるのが分かった。

どうする?朋香?
こんな事、七海に知られたら
『あの菅野課長に抱かれた?なんでよ!!!』
って、詰め寄られるよな。
それよりも、周りの菅野課長ファンの総務部のお姉様方に、何を言われるか…

ダメだ。
気が遠くなってきた。

「か、課長。とりあえず、その手を離して下さい。も、もう大丈夫です」

私に腕枕をする形で、置かれていた手を離してもらえるように、お願いした。
課長も改めて、今の状態を見たようで慌ててその手を離してくれた。

「……っ、すまん。何もしてないからな?大丈夫だぞ?」

「あ、いや。はい…」

何回も言わないで下さい、課長。
何もしていない、と。
別の意味でショックと言うか…

私は気持ちを切り替えようと、ベッドから出て、コーヒーを飲もうとキッチンに向かった。
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