時には優しく…微笑みを
夜中に目が覚めた私は、誰かに抱かれている感触を感じた。

目を開けると、目の前に課長の顔があった。

「っ…課長…」

昨日、そうだ。
課長から言い訳はしない、と抱きしめられキスしたんだ。
眠っている課長の唇に触れた。

キスしたんだ。

ただキスしただけ…
それから、安心出来るだろう?いや、俺が安心なんだと一緒にベッドに入ったんだ。

課長の心臓の音がリズムよく聞こえてきて、私はすぐ眠りについた。

課長…

まだ私は課長への気持ちが、ただの憧れなのか、それとも恋心なのか分からなかった。
自分自身が恋愛が出来ると思っていなかったから…

「っ…っうん…」

寝返りを打とうとした課長の腕が、私の腕に触れた。

私はその場から離れようとしたけれど、課長が離すことはなかった。

「どこに行く気だ?」

「っ、起きてたんですか…」

やだ、恥ずかしい。
唇触ったりしてたのに…
いつから起きてたんだろう。

「…唇触っただろ?それで目が覚めた。ふっ、キスするのかと待ってたんだけど?」

「も、もう!課長。ふざけないでくださいよ!」
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