時には優しく…微笑みを

言われた学生は、文句を言いたそうにしていたが、これからの事もあると考え直したのか、黙って帰って行った。
そして、目の前に座った彼女は…

「あ、ごめんなさい。失礼な事をしました。でも、事実ですよ?当たり前じゃないですか?社会にまだ出てもないのに、偉そうな事を私達はまだ言えませんもん。すっごく、ここに響きました。ありがとうございました」

そう言うと、自分の胸に片手で、ここと言いながら、にっこり笑ってランチを食べだした。

俺も同僚も呆気に取られていた。

「っ、君は…?」

「あ、ごめんなさい。東亜大学2年の櫻井朋香です。失礼な事ばかり言って申し訳ありませんでした」

頭を下げる彼女、櫻井さんを俺と同僚は頭を上げるようにと声をかけた。

どうやら、櫻井さんは大阪から出てきて、東京で就職がしたいらしい。
屈託なく笑って話す彼女から、俺は目が離せなくなっていた。

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