なあ、遥
「さてと」
所々破けた障子を開けると、なんとも生活感のある空間が広がっていた。
私と裕子は、適当に砂埃を払ってから畳に寝転んだ。
この瞬間ってなんとも言い表せない、最高の気分。
なんでか分からないけど、自分しか知らない空気って感じ。
「60歳のおじさんかな」
「いーや、独身のアラサー女とみた」
「それは流石に嫌だわ」
「あはははっ!」
誰が住んでたかなって、こういう風に毎回話してみるのが好き。
絶対当たってないんだろうけど。
