扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
episode13

秘密の選択肢

「………」



どういう訳か洞窟なのに、灯りが既に設置されていて、勝手に付いた。



「洞窟って普通は暗いよね?」



「まあな、多分そういうふうにしてんだろ」



「そっかあ、そうだね」



仕組みは分からないけど、管理されているって事だろう。



「洞窟でラブメーカーが上がる展開ってどういうものだと思う?」



「えっうーん、なんだろうね」



洞窟でラブメーカーが上がる展開ってどういうのか考えが付かない。



「うーん、わかんないな」



「だよなー」



(変なのじゃなければいいんだけどなー)




その後も進んでいくが、特に何かがある訳もなく、ただただ進んでいった。



「何も起こらないね…」



「うーん…だな」



武器も特に変わる事もない。



もしかして…このまま終わる?



いや、それはないか。



「?」



(あれ? 何か…)



「なんか来てるな」



「そうだね…」



やっぱりそうだった。



微かだけど、何かが近付いてくる音が聞こえてきている。



何なのかは分からないけど。



(どこから?)



近付いてくる音に警戒しながら進んでいくと、それは突然現れた。



「うううっっ!!??…きっ気持ち悪いーっ」



私は思いかげずに暁さんの背中に隠れるかのように、ぎゅっと服を掴んだ。



「!」



急に暁さんの服を掴んだのか、彼は少しびっくりした顔をしていた。



「なななっ何あれ!?」



「あー巨大蜘蛛だな」



突然現れたのは私以上にデカすぎる巨大な蜘蛛だった。



ファンタジーアニメとかで出てきそうな巨大蜘蛛は、現実になると、それはそれは気持ち悪かった。



色んな意味で生理的に無理だった。



「確かにきめーな」



「………」



こういうのも見慣れているのだろうか。



びっくりする程に冷静だった。



「あの…こういうのもよく出るの?」



「たまにねー。もうさ、メルヘンじゃないのよ。
めちゃくちゃだし、ファンタジーぽいし。わけわからん」



「………」



うん、確かに恋愛エピソードという割にはファンタジー要素が強めだ。



メルヘンの要素がどこにもない。



あるとしたら、雰囲気だ。


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