扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「で、どうしてか教えてくれる?」


「うん…」


いざ言う事になったと言えども、なんとなく言う事にためらいを持ってしまっている。


「俺らといるのは嫌?」


「そんな事は…ないけど」


「けど?」


「その」


たった一言を言うのがこんなにも戸惑いが生じるなんて、なんで私はこんなにもダメなんだろう。


「い、居た堪れないの…」


躊躇しながらもようやく言えたけど、聞こえただろうか。


「居た堪れないって言ったの?」


(聞こえてた…)


「うん」


「それはどういう事? 何が?」


私の言葉に蒼兎くんはキョトンとなる。


「だって、違いすぎるんだもん」


そう、私と蒼兎くん達とは違いすぎるから。


「違う?」


「だって蒼兎くん達は人気で目立つような人じゃない? 私とは全然違うんだもの」


「…そんな事はー」


「そんな事あるよ! だって私はそういう人間じゃないんだもの」


ああ、ダメだ。


感じてた感情が一気に出てくるみたいに溢れ出て来て止まらない。


「一緒に居ると居た堪れなくて、私はそんなキラキラした中に入れない。羨ましいとかそう言うじゃなくて、眩しくて私には遠い存在にしかならないんだもの」


「それは誰かに言われたの?」


「そうじゃないけど、でも、私は自分がどういう人間かぐらい分かってるから」


自分がどういう人間で、蒼兎くんみたいなキラキラした人とは違いすぎるぐらい分かってる。


「だって私は蒼兎くんみたいになれないんだもん」


「んー別にそういうじゃないと思うんだけどな…」


「えっ」


私の訴えに蒼兎くんは否定するかのような言葉を出した。



「そんなに俺らは君にとって重荷なの?」


その時見せた蒼兎くんの表情があまりに切なそうだった。


「だっだって⋯私は自信とか勇気とかないし、意気地なしだし目立ったりするのも嫌いで、クラスでも端っこにいるタイプで、むしろ嫌がらせを受けている人間だから…」


「嫌がらせ…」


「それに、見た目だって蒼兎くんみたいにキレイとかじゃないし、可愛い訳でもないから、そんな普通で目立たない人間が蒼兎くん達の中に居たら違和感で浮いているように見えるんだもの」


「違和感なんて思わないよ?」


きっと蒼兎くんは本当にそう思ってくれているんだろう。


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