総長さんが甘やかしてくる③
――幻を救いたい気持ちは同じはずだ
「幻が。……そんな、危ないっていうの?」
カスミから笑顔が消えたとき
この子は、なにも聞かされていないのだと悟った。
きっと
俺以上にこの世界のことを知らない。
なのに姫なんてしているのは――
「俺たちを置いて一人でなにか行動に出てるってことは。それだけヤバいことが起きてると考えていいだろう」
幻のためなのだろう。
「いいか? よく聞け。外に待機しているやつは、平気で君をキズモノにしてのけるだろう。手段なんて選ばずに」
「あたしを脅すの?」
「そうじゃない。笑ってナイフを振り下ろすような人間だと警告している」
「…………」
「キレたアイツを、俺に止められるかどうか。幻の言うことなら確実に聞くだろうが。俺は君に一生消えない傷をつけることは避けたいんだ」
「……イカれてる」
「ああ。相当にな。だけど俺も。それから、うちの姫も。そいつを仲間だと思っているし。君に手荒なことはしたくない。だから、話してくれないか」