総長さんが甘やかしてくる③



(……チームを思いのままに動かすため?)


トップになれば、歯向かってくるやつも、いない。


だとしたら。


木良は、滅びかけのチームを使って

なにを企んでいるんだ?


目的が、わからない。


それを考える前に

さっきから鼻をつく異様な匂いが気になって仕方ない。


だんだん目が慣れてきて、気づく。


「なん……だよ。これ」


ここには

三人だけがいたわけじゃ、なかった。


奥に目をやると

“そこらじゅうに”人がいた。


全員、倒れている。


誰だ、そいつら。


まさか…………羅刹のメンバーか?


足元が、濡れている。


ひとつは、人の血だろう。


ハッキリわからないが赤黒いようだ。


つまり、

流れてから時間が経過していると考えていい。


もうひとつの液体は

水では、ない。


……なにか。オイルのような。


「まさか。灯油か?」

「正解」

「かけたのか。そいつらに」

「それも、正解」


木良がライターをポケットから取り出す。


「なに考えてんだ」


そんなもん。今、つけて。


もし、ここに倒れてるやつらに、引火でもしたら。


(むしろ。木良は、それを狙っている?)


……オイオイ、マジか。

コイツら全員焼き殺そうっていうのか?

< 236 / 272 >

この作品をシェア

pagetop