総長さんが甘やかしてくる③
やってきたのは、河川敷だった。
バイクを止め坂の上に座る。
暫くすると
車の走行音が、近づいてきた。
「あの頃は、このあたりに。ラーメン屋台走ってたよね」
降りてきたのは、木良だ。
「そうだったな」
「幻が、塩で。林さんが醤油で。僕はとんこつ」
そういうと、俺の隣に座った木良。
車が走り去る。
「ミノルにかけたのは。ただの水だな」
返事がないのは、YESということだろう。
「やっぱりそうか」
「匂ったはずだよ。たしかにオイルのかおりが」
「フェイクだった。ちがうか?」
「…………」
「灯油は使っていないか。使っていたとしても多くはない。撒き散らしたように見せた。火の海にするつもりもなければ、最悪の事態に備えて避難経路は、確保されていた。霞は知らなくても。霧切はすべてわかっていたんだな」