わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
「えっと、まあ……」

「ほら、一人暮らしで体調崩すと大変な時あるからさ。でも、大丈夫か、四条さんなら」

「え?」一花は佐藤の顔を見る。「体調?」

「え?あれ?」今度は佐藤が戸惑う。「知らなかった?四条さん体調不良で休んでるんだって。僕も知らなくて、仕事の事で電話しちゃって知ったんだけど」

「……え、そうなんですか?」

「うん、大した事ないといいよね。そっか、知らなかったんだ。お見舞い行ってみたら?」最後を小さな声で佐藤は言うと「じゃあ、書類お願いします」といって席に戻って行った。

一花はパソコンに向かって書類を作りながらもグルグル考えていた。

体調不良?ってことはマンションにいるの?え、じゃあ、美園さんは?一緒とか?……それだったら最悪。

でも……。見舞い?見舞いって行っていいの?私が?あり?それ。

あんな態度とっちゃったのに。あんなこと言わせちゃったのに。

一花は思わずため息をついた。と、席を外していた篠山が隣に戻ってきて言った。

「一花さん、仕事増えてます?私、何にも今日はないから少しもらいましょうか?」

「あ、大丈夫。終業までには終われるから。ありがとう」

答えながらとりあえずこの仕事終わらせなくっちゃ、と書類に目を落とした。
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