好き。好き。大好き
=土曜日=

おばさんの家まで迎えに来てくれた竜也と祐介君。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい。気を付けるのよ」

「はーい」

ずっと、母親の代わりをしてくれてる。おばさん
でも、詩織もそうだけど、
あたしたちもあまり怒られた記憶がない

「行くぞ?」

「あ、うん」

あたしは竜也と手をつないで
心菜は祐介君と手をつないで
初めて、彼氏を連れてきたお墓参り。

「お前たちの本当の両親はここにいるんだな・・・」

「うん」

伏見家の墓___
初めて2人で来てからもう、5年。
お互いに1人では来たこともあったけど
こうしてくるのは、なんだかとても緊張する。

「お父さん。お母さん。あたしね。今、幸せだよ。
心愛が傍にいてくれる。祐介もいてくれる。
これ以上の幸せはないんだ」

心菜・・・

「きゃっ」

強く風が吹いた瞬間
2匹のアゲハ蝶が飛んできた

「”見ているわ。今までも、これからも。
あなた達は、あたしたちの分まで、幸せに。”」

!?

「心菜・・・」

「聞こえたね。きっと、あれがお母さんの声なんだよ」

「”心愛。心菜。寂しい思いをさせてすまない。
2人とも、いつまでも、元気で。
俺も、母さんも、いつでも、ちゃんとにお前たちを見守っている”」

「ふぇ・・・」

「心菜」

「ゆ、すけぇ」

祐介君の腕の中で泣いている心菜は
きっと安心できる人に巡り合えたのだろう

「心愛。今度は2人で来よう。
俺たちの結婚するときに」

!?

「うん」

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