きみと手を繋いで眠りたい



「じゃあ、教えたらなんかくれんの?」


決意したように、友紀の目の色が変わる。


「えーなにがいいの?あ、でもひとつだよ?私の部屋にあるラッコグッズはダメ。あとお金もなし。それとね――」

「お前」

「え?」


「俺の好きな人、奈子」


私の思考がぴたりと止まった。じっと見つめてくる友紀が私の知ってる友紀じゃないみたいで、動揺する。


「な、なに冗談言って……」

「冗談じゃない」


そう言って、柔らかいものが唇に当たった。


触れた時間は一瞬だったのに、唇が離れたあともじわじわと熱を帯びてくる友紀からのキスは、とても優しかった。



「言ったからもらったぞ」

友紀は再びベッドに横になって漫画を読んでた。



なにが起きたか分からない私は胸の鼓動だけが速くなるばかりで。

「ふざけないでよ」と、いつもみたいに怒れば少しは部屋の空気が変わったかもしれないけど……。


〝冗談じゃない〟と言った友紀があまりに真剣だったから、私はなにも言えなかった。


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