きみと手を繋いで眠りたい



……ひとりの女の子。


私は、いつも友紀のことを幼なじみとか家族とかそういう言葉で一括りにしてた。


でもそういうことを全部なしにして、友紀をひとりの男の子として見たら?

ムカつくところはいっぱいあるけど、それ以上にいいところがいっぱいある。


私しか知らないこと。私だけしか知らないことがたくさんあるのに、友紀との距離が離れて、今までどおりに話すこともできなくて。


知ってることより、知らないことが増えていくのは嫌だ。



「一緒にいないと調子が狂うなんて、この先どんな人と出会っても彼女しかいないなって。……あ、ごめん。こんな話しちゃって」

耳が赤くなってる先輩が可愛い。


彼女との馴れ初めを聞いて、先輩がどれだけ彼女のことを想ってるか知っても、胸はチクリとしなかった。



「先輩、彼女さんのこと、これからも大切にしてくださいね」


先輩への好きは、本物だった。


別れればいいだなんて、汚いことも考えた。

でも私は先輩のことを想って夜が眠れないなんてことはなかったし、電柱に頭をぶつけそうになるほど、ぼんやりとしたことはなかった。


先輩への気持ちは一区切りつけられたのに、友紀への気持ちは一区切りつけられない。


つけたくない。


このまま、遠いだけの人になってほしくない。


< 18 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop