"あやまち"からはじめませんか?




無事に美化週間が終わっても生徒会に休んでいるひまはない。


今度は2週間後にひかえた球技大会の準備が待っている。


でもしばらくは朝早くの活動はないから、まだゆっくりしてられる……。


登校中、すれ違う人に挨拶をしながら教室に向かっていると。


「おはよう、吉永」


私の肩をトントンと叩く人物が。

振り返ってみてみると、そこにいたのは岩田くんだった。


「おはよう」


私が挨拶すると、彼は決まり悪そうな顔をする。


「どうかしたの?」

「実はさ、現国の教科書忘れて来ちゃって……悪いんだけど貸してくれない?」

「いいけど、めずらしいね。岩田くんが忘れものなんて」


生徒会に入ってくる人たちは少なからず、みんなの代表でいようって気持ちがあるので

しっかりしていることが多い。


「気がゆるんじゃって、情けない話だよ」

「まぁ誰だってそんなことあるよ。どーぞ」


私は現国の教科書を岩田くんに差し出した。



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