こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
私の本名は酒井凛子だ。けれど、なぜか彼に警戒してしまい、咄嗟に中学で仲の良かった友人の名前を告げてしまった。もう会うこともない人に個人情報を明かす必要もないだろう。すると彼は、ふぅんと言っただけでもうそれ以上なにも聞いてはこなかった。
しばらくして、腕時計で時間を確認した彼はすっと席を立った。
「あまり長居してられないんだ。悪いけど先に失礼するよ、なかなか面白い時間を過ごせた」
そう言って、彼は財布から私の分のお代まで支払って店を後にした。
偶然だったとはいえ、この店で見ず知らずの人と一緒にお酒を飲むのは初めてだった。
そういえば、名前聞かなかったな……。
チラリと見た彼の財布は某ブランドのもので、スーツも上質なものだった。そして、立ち姿もやはりスタイルが良くて目を引いた。きっといい会社勤めのエリートサラリーマンか、ベンチャー企業の社長か、ひとりで飲みながらそんなことを考える。
もう会わないんだし、初対面で男と寝てきただろとか言うような失礼な人、どうでもいいか。
今まで彼の座っていたスツールに移動すると、お尻にじんわりとまだ残っていた彼のぬくもりを感じながら、私は不思議な出会いの夜の余韻に浸っていた――。
しばらくして、腕時計で時間を確認した彼はすっと席を立った。
「あまり長居してられないんだ。悪いけど先に失礼するよ、なかなか面白い時間を過ごせた」
そう言って、彼は財布から私の分のお代まで支払って店を後にした。
偶然だったとはいえ、この店で見ず知らずの人と一緒にお酒を飲むのは初めてだった。
そういえば、名前聞かなかったな……。
チラリと見た彼の財布は某ブランドのもので、スーツも上質なものだった。そして、立ち姿もやはりスタイルが良くて目を引いた。きっといい会社勤めのエリートサラリーマンか、ベンチャー企業の社長か、ひとりで飲みながらそんなことを考える。
もう会わないんだし、初対面で男と寝てきただろとか言うような失礼な人、どうでもいいか。
今まで彼の座っていたスツールに移動すると、お尻にじんわりとまだ残っていた彼のぬくもりを感じながら、私は不思議な出会いの夜の余韻に浸っていた――。