ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
「わたくし、実松新は千葉恭子を健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います」
真剣な表情は本番さながら。
神父様こそいないけど、気持ちを確認するには最適な場所だ。
「結婚を前提に。これからもよろしくな」
実松くんの言葉に笑顔で答える。
「こちらこそ。よろしくお願いします」
それから実松くんは柔らかく微笑み、首を傾げ、私の唇にキスを落とした。
「神様の前でキスしちゃったな」
額と額をつけながらそう言って微笑む実松くんを見て、幸せが込み上げてくる。
「好きになってくれて、告白してくれてありがとう。実松くんの恋人になれて幸せだよ。大好き」
溢れてきた想いを口にした途端、実松くんは驚いたように目を見開いた。
そして私の体を強く抱きしめた。
「その言葉がずっと聞きたかった」
安堵した声色に胸打たれ、実松くんの背中に手を回す。
やはり言葉を伝えるのは大事だった。
それならこれも伝えておこう。
「誓いの責任。とってね」
小声で言うと、実松くんはさらに強く体を抱き締めた。
「その言葉。忘れんなよ」
忘れない。
絶対に。