アイツが仕掛ける危険な罠=それは、蜜色の誘惑。【完】
でも、あれは別れ話しなんかじゃなく、合同会社設立の記者会見の後、私と結婚式を挙げる計画があるという話しをしていたんだ。
本当は、私には伝えずサプライズで結婚式を挙げて驚かすつもりだったみたいだけど、さすがに何も知らないのはマズいと思って話したそうだ。
「なんかね、メディスンカンパニーのCEOが結婚式を挙げようって言ってくれたみたいですよ」
「……CEOが?」
「はい、だから愁君もその気になったって。初めは結婚式のことはお姉さんに秘密だったから、私も大変だったんですよ~」
「どうして早紀さんが?」
「だって、お姉さんに気付かれないように結婚準備をしてくれって愁君に頼まれてたから、好みのドレスを選んでもらったり、ブライダルエステに通ってもらったり……ホント、苦労しましたよ」
「あ、じゃあ、あれは全部私の為に?」
それは、私が最高の状態で気に入ったドレスを着て結婚式ができるよう愁と早紀さんが綿密に相談して進められていた作戦だった。
確かに不自然だとは思っていたけど、まさかそんな計画があったなんて……
しかし私が早紀さんの身内で結婚する人が居るのかと聞いたことで、もしかしたら何か気付いたんじゃないかと焦った早紀さんは、作戦がバレることを恐れ、以降、沈黙を守った。
「だから連絡してこなくなったの?」
「そういうことです。なのに愁君ったら、お姉さんの声を聞いたら我慢できなくなって結婚のこと話しちゃったとか言うし、なんだそれって感じですよ」
「あ、でも、秘書課の元木さんが、専務室で社長の奥さんが愁の結婚話しをしていたのは事実よ。あれはどうなったの?」