フルール・マリエ


牧さん達が次に打ち合わせに来た時に、ウエディングドレスも合わせることにしていた。

カラードレスよりも似たように見えるウエディングドレスに意見を言うのは難易度が高いはずなのに、新郎はキラキラしてる方がいいな、と初めてどれもいい、ではない答えを懸命に探しているようだった。

牧さんは話し合ってわかってもらったと思う、と自信なさげに言っていたが、新郎はかなり意識しているように私からは見えた。

「ほんと、いい旦那さんだね」

「まだイラってするところもあるんですけどね。支え合える夫婦になれるように諦めないでいこうと思います」

鏡に映る牧さんは少し照れ臭そうに苦笑を浮かべていた。

「それに、思えばあんなに私を好きって言ってくれる人いなかったなぁって。あの人離したら後悔するかもって思いました」

「うん、滲み出てるよね。牧さんのことが大好きだって私でもわかる」

「離婚を考えたりもしましたけど、思い留まって良かったです。朝見さん、ありがとうございました」

それは牧さん自身が新郎の良さに気づけたからなんだろうけど、牧さんが嬉しそうに新郎のことを話すようになってくれて胸をなで下ろした。



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