私の嘘は、キミのせい。



「もーっ!聞いてる?奈々佳ってば~!」
「……え、ごめん。……なに?」


なにか言われてた?
どうしよう、全然聞いてなかった。



「また、要のこと考えてたの?」
「いや、今は綾乃のこと考えてた」
「……ならいいけど……。さっき言ったのは、私たちの前では泣いたり弱音吐いたりしていいんだからね?……ってこと。肝に銘じておきなよ?」



肝に銘じる……は、なんかちょっと違う気がするけど。



「うん。ありがとう、綾乃」
「トーゼン」
「綾乃大好き」
「私も奈々佳大好き!」



私が言うと、綾乃は飛びついてくる。
やっぱり私、綾乃と友達になれてよかったなあ……。



「……いや、だから俺は?」
「最高の幼なじみ」
「大好きな彼氏」
「フタリトモアリガトウ」



大輝……棒読みだよ。本当はどうでもよかったんでしょ。
でも、ありがとう。



「……二人とも大好きだよ」
「どうしよう、奈々佳に告られた」
「いや、違うだろ」



穏やかな時間が流れてく。

要と二人っきりの時とは全然違う、穏やかで楽しい時間。

本当は要といる時も、こんな穏やかな気持ちでいられたらいいのに。

こんな気持ちでいられたら、楽なのに。


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