君の手が道しるべ
お仕事女子の道険し。
午後3時。

 ゆっくりとシャッターが降りていくのを見て、私は小さくため息をついた。

 ロビーにお客様がいないことを確認してから照明スイッチを落とす。すぐそばにある有線放送のスイッチも切る。ほんの少し暗くなった営業室。さしあたり、今日の戦いが終わったと感じる瞬間だ。

 ずっとずっと昔。

 高校生くらいまでは、

「銀行って3時に閉まるから、早く帰れてラクそう。私、銀行に就職したいな」

 などと脳天気に思ったりしていた。

 大学生になった頃には、さすがにそんな考えは持っていなかったけれど、

「銀行は女性でも活躍できる職場に違いない。企業としての安定性も将来性もあるし、就職活動は金融機関中心で行こう」

 と考え、実際、銀行への就職に成功した。

 そして。

 30歳の節目を超えて早2年。

 昔思い描いた自分の「将来像」とは似ても似つかないところに、今、私は、生きている。
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