ありがとう。-先輩、もう会えないのですか-
「あー、もう」
 声を漏らせば、一番に反応するのが笹川だ。
「ん。どしたの」
 そのことに一瞬喜んだ金橋ではあったが、昨日の出来事を焦らずに話した。

「で、その佐藤って人がものすごいイケメンだったわけ」
「そう!そうなの!」
「ところでさ、あんたってあの家に小さい頃から住んでんでしょ?」
「え、うん」
「幼少期時代から隣の家は佐藤さんだったわけじゃない?なのに何で、今の今まで佐藤さんの息子を見たことがなかったの」
 金橋は、言われて初めて気が付いた。確かに、というような表情に、笹川は溜め息をついた。
「一週間は佐藤さんの話漬けね...」
 金橋と笹川は、小さい頃からの幼馴染だった。金橋にとって笹川はなくてはならない存在で、笹川にとってみてもそれは同じだった。
 互いに互いのことを熟知していた。だからこその笹川のこの言葉だった。
「えっ、いやだって誰がどう見ても絶対そうなるって」
「どうだか」
 2人の会話は予鈴がなったこのときに終わった。
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