不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
「別に理由はねぇよっ。嫌いなんだよ、あの感じが。……だからしなかった」

久遠くんがキスが嫌いだと知り、だから私にもキスをしてくれなかったのだと謎が解けた一方、ショックを隠せずにいた。

私は久遠くんとのキスが好きだ。私からすれば応えてくれるし、そのときは夢中で貪るようなキスをしてくれたような気がしていた。
……あれは本当は嫌だったってこと?

「……美和子?」

「え?あ……何でもない」

目を合わせることができない。ちょっと、本当にショックすぎる。これ、立ち直れるのかな。

目元に涙が溜まり始め、堪えきれずに溢れてきた。

「なんで泣くんだ美和子っ……泣くなよ……」

「ごめんっ……」

手を握られたが、それを払い、ベッドから立ち上がっていた。
帰ろうと思って青いカーテンの閉まった外の様子に耳を立ててみたが、予想どおり、大雨は台風を呼んでいて、まだ帰れそうにない。これじゃあ電車がいつ止まるかも分からないし。

「……シャワー借りてもいい?」

冷たい体を自分で抱きしめてみせると、久遠くんは慌てた様子で立ち上がり、バスルームへと案内してくれた。案内されずとももちろん知ってはいたが、私が風邪をひかないよう、先回りしてあれこれ準備をしてくれる。
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