モモちゃんに溺れる
閉まった玄関の扉をしばらく見ていた。

今、追いかけて扉をあければまだいるかもしれない。

そしてまた抱き寄せて・・・

そんなこと考えてる自分がバカすぎる。

いやその前に・・・もうすぐ結婚する人と、また会う約束をするなんて。

遊ばれてるってわかっているのに、それでもいいと思ってる。

バカだ、俺。

腕にモモちゃんの感触が残っている。

ベッドに倒れこむと、かすかに香りも残っている。

毎日ここで寝るのに、どうしてくれるんだよ。

やばいな・・・

俺、どうなるんだろ。

すべてを支配しているモモちゃんから少しでも逃れたいのもあって
シャワーを浴びることにした。

普段よりは少し熱めの湯を頭からかぶっても、体が熱くなっていく感覚が昨日と似ていて、また思い出してしまう。

鏡で自分の体を見て、さっきまで体中にされていたモモちゃんのキスの跡を探す。

「・・・なんだよ、ないじゃん。」

俺は抑えきれなくて残してしまったのに、モモちゃんは俺に痕なんか残さないんだ。


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