それでももう、貴方以外考えられない。
自分の部屋に入ると、こらえていた涙が一気にこぼれた。


分かってる。別にお父さんは、私を見捨てるわけじゃないってことくらい。


でも…心のどこかで、見捨てられたと思っている自分がいる。


ーーーコンコンコン


部屋のドアがノックされ、私は急いでベッドにもぐった。


「美月? もう寝たか?」


ドアの向こうからお父さんの声。


「…もし起きてたら、聞いて欲しい。まず言っておくが、お父さんは美月の事を面倒臭いとか思ったりしない。美月は、お父さんの一生の宝物だから」


私は、ベッドの中で静かに涙を流した。


「お父さんはな、守りたい、幸せにしたいと思える女性ができたんだ。でもだからと言って、美月を見捨てるわけじゃない。分かるか?」


お父さん…。


「大切な娘にお父さんの大切な人を会わせたいんだよ。だから美月に、その人に会って欲しい。いつかは、お母さんになるかもしれないから」


やっぱり…再婚、なんだよね。


「美月、考えておいて」


そう言って、お父さんがドアの前から離れる気配がした。


私はその日、沢山の涙で枕を濡らしながら眠りについた。

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