ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「とても穏やかで、愛情深い人です。早くに母が亡くなって、大変ことも何度もありました。でも、父がいつもそばにいてくれたから、私は今日まで寂しい思いをしたことがないんです。どんなときも笑っていられました」
私は伏し目がちになって言った。
そう。ふたりだったから。
「たくさん愛されて育ったんだな。どうりで君は素直で強い」
「強い?」
予想外の言葉に、私は面食らった。
「あぁ。土壇場で決断できる人間は意外と少ないんだ。人間は問題に直面したとき、過去の経験からリスクを回避しようと考えるようにできている。だが、決断できなかった分だけチャンスも失うんだ。君はあの夜、すぐに答えを出した。それは案外難しいことで、とても大事な才能なんだよ」
大事な才能? あのときは、ただ必死だったから……。
そんなふうに言ってもらえるなんて思ってもみなくて、嬉しさで足が地に着かない。私が気恥ずかしさに眉根を寄せていると、颯馬さんは、
「小春といると落ち着く」
と再び目を瞑った。
私は伏し目がちになって言った。
そう。ふたりだったから。
「たくさん愛されて育ったんだな。どうりで君は素直で強い」
「強い?」
予想外の言葉に、私は面食らった。
「あぁ。土壇場で決断できる人間は意外と少ないんだ。人間は問題に直面したとき、過去の経験からリスクを回避しようと考えるようにできている。だが、決断できなかった分だけチャンスも失うんだ。君はあの夜、すぐに答えを出した。それは案外難しいことで、とても大事な才能なんだよ」
大事な才能? あのときは、ただ必死だったから……。
そんなふうに言ってもらえるなんて思ってもみなくて、嬉しさで足が地に着かない。私が気恥ずかしさに眉根を寄せていると、颯馬さんは、
「小春といると落ち着く」
と再び目を瞑った。