明日キミに聴かせたい

翌日、学校に向かうとやけに下駄箱付近がざわついていた。


「どうしたの?」

「あ、奈津。なんか5組の女子の下駄箱に大量の折り鶴が入ってたんだって」

「折り鶴?」

「それも白と黒の。怖いよねー」


白と黒の折り鶴ねぇ…。


「おはよう」

そんなことよりも後で先輩の教室に行かなきゃと下駄箱でいつものような自分の上靴に履き替えて教室へと向かっていると、どこからか女子の叫び声が聞こえた。

ざわつく教室から一人の女子生徒が出てきた時、私は思わず「5組…」と呟いたけれど、その声はざわつく生徒たちの声に掻き消され、私はざわつく教室の中を廊下から見ようとしたけれど、人人人で現場で何が起こっているのか見えなかった。

すると、廊下で泣きながら座り込む女子に教室から出てきた女子生徒二人が近寄るなり「大丈夫だよ」とか「気にすることないよ」とか言いながら励ましていた。


その声を背に私は自分の教室へと向かった。

< 129 / 250 >

この作品をシェア

pagetop