明日キミに聴かせたい

意を決して花瀬名雄にメッセージの返事を打ったという報告を出来ないまま、また1日が過ぎようとした夕暮れ時、いつものように奈津がいつもと違う天気に向かって雨でスカートが濡れたとかぶつぶつ言いながら部屋に入ってきた。


「なっちゃん、今日ご飯どうする~?食べてく?」

「いえ、今日は家で…いつもすいません」

「何言ってるのよ~もうなっちゃんはうちの家族みたいなものなんだから遠慮しなくていいの~」


母はそう言いながら私の部屋のテーブルに二人分のお茶が入ったガラスのコップを並べ、カゴに入ったみかんを置いて部屋を出て行った。


「羽流と家族か~アリだな」

「奈津お姉ちゃーん」

「萌え~もう1回言って!動画撮るから」

「二度と言わない」

「羽流たーん」と甘え声で要求してくる奈津を知らずに私のスマホが短くブルッと震えた。


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