三十路が進む 現在進行形初恋
一章 ~白い封筒、ジェットコースター、スタートライン~



「それでは皆さん、今日もお疲れさま!」

 仕事仲間に敬礼をして、今日も病院内コンビニの仕事を終えて家への帰路につく。
 病院近くの駐車場まで歩き、白とオレンジのツートンカラーの軽自動車に乗る。ラジオからは秋に合う切ない曲の特集を語る、聞き慣れた女性DJ の柔らかい声。
 いつもの道をいつものように、少しゆっくりめのスピードで車を走らせる。
 二十三で結婚、即離婚してから十年近く続く、変わらない毎日……平穏な一日の終わり。
 実家の狭い駐車場に車を停め、空っぽのポストを開けて締め、玄関の鍵を開ける……

 何も変わらない、いつもの流れ作業のはずだった。
 でも今日は違っていた。

 ポストに一通の白い封筒。

 少し膨らんだその封筒を手に取る。村橋良香、私宛だ。

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