三十路が進む 現在進行形初恋

 思い出してくれたならきっと、そんなこと気にしてハルのばーか! と笑い飛ばしてくれていると思う。

 
 リョーカを鷹野と結ばせようとした、あの日々からもう二十年近くも経つなんてお互いに年を取ったもんだね。おっと、リョーカも女の子だから年の話はしちゃいけないか。すまんすまん。

 つい女の子なんて書いちまったけど、今は素敵な旦那さんのところに嫁いで、子どもに囲まれて立派なお母さんをやっているのかな。きっとそうだと思いたい。
 なんせ、リョーカは卒業文集の将来の夢の欄に、中三にもなって「素敵な王子様と結婚して幸せになる」なんて書いてたくらいだからな。

 そんなかわいらしい夢でも、俺は今でもリョーカの夢や望みが叶うことを祈っている。
 
 あの頃リョーカを幸せにしてやれなかったことを、俺はその後もずっとずっと後悔していたよ。いや、今も、だな。
 中三になってクラスが別れ、リョーカからさよならを言われてから、俺は心に穴が開くってのを、まざまざと感じたよ。リョーカがいなくなって、俺は世界から一人取り残されたような気持ちだった。

< 21 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop