箱入り娘に、SPを。
大きな本棚の上をハンディモップで撫でているうちに、ひどく後悔した。
彼にかけるべき言葉は「お疲れ様でした」が正解だったんだと今さら気づき、目先のことしか考えていなかった愚かな自分にガッカリしたのだった。


「美羽ちゃん、今ちょっといい?」

下から声がして、見下ろすとマキさんが手招きしていた。
「はい!」とすぐに降りて脚立をたたんで抱える。

そのままマキさんに連れられて店舗裏へ移動した。

脚立を片付けて彼女のもとへ戻ると、なにやらタブレットで画面を表示して私に見せてきた。

「これ、美羽ちゃんに参加してもらおうかなって思ってるんだけど、どうかな?」

どれどれ、とタブレットを受け取って画面をスクロールしていく。

それは複数の出版社主催で開催される、書店向けの販促マーケティングの集いの案内だった。
都内では有名なホテル会場でやるようで、だいぶ大きめのイベント…いわゆる講習会のようなものだ。

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