黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
12話「白騎士の願い」





   12話「白騎士の願い」




 お風呂から上がると、マナがおり、エニシがしたことを謝罪した。

 けれど、マナが悪い事をしたわけではないので、気にしていない伝えると、驚きながら、「すみませんでした。」と、何度も何度も繰り返し謝っていた。
 青草の刻印の者が、白蓮の人には逆らえないのはわかっていたけれど、きっと逆らってしまったり間違った事をすると、酷い目にあったのだろう。
 その青くなったマナの顔を見て、水音はそう思った。


 マナは買ってきた服を準備して水音に着せてくれた。

 「ねぇ、マナ。こんな服、私が着ていいの?」
 「白蓮の女性は、このような服を着る人が多いですよ。わぁ、とてもお似合いですね。水音様は、色が白いので、濃いお色でも淡いお色でも着こなせますよね。羨ましいです。」
 「ありがとう。でも、なんか、少し恥ずかしいわ。」

 
 水音が着たのは、結婚式で帰そうなドレスだった。さすがに、裾が長いものではなかったけれど、華やかで、女の子が憧れるものばかりだった。
 ただ、これを普段から着ているのは大変だけれども、仕事をしないで暮らしているのであれば、好きな服が着れるのかなと、思ってしまう。


 「レイト様がお待ちですので、どうぞ。」


 そういうと、食事をする部屋へと案内された。そこには大きなテーブルが用意されていたけれど、座っているのは、レイトだけだったので、部屋が大きく、そして寂しく感じてしまった。


 「水音!とっても綺麗だね。濃い紺のドレスは君の肌が映える。」
 「レイトさん、素敵なお洋服ありがとうございます。」
 「いや、いいんだよ。無色の君になら、なんでもプレゼントしたいと思うんだ。」
 「………これだけで十分です。私は、青草の方のような簡単な服の方がいいと思うのです。」
 
 
 水音は、紺の光沢のある綺麗な生地に、色とりどりの宝石のような石が散りばめられた美しいドレスを着ていた。確かに、白蓮の人を数人見たときも、綺麗な洋服を着ていた。
 けれど、青草の人々は元の世界の服装と似ていたのだ。水音は、そちらの方が動きやいし、馴染みもあるので好きだった。

 そんな事を伝えると、レイトとマナは驚いた顔をしていた。
 マナは少しだけ嬉しそうにしていたけれど、レイトは焦った表情をしていた。


< 44 / 113 >

この作品をシェア

pagetop