黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛


 「え……!」
 「雪香さんが言ってただろう?昔の無色……?の本を読んでみろって言ってただろう。俺なら白蓮の図書館に行けばあるだろう。だから、行ってくる!」
 「僕はひとりになるの?僕も白蓮に行きたいよ………。」


 レイトは、震えるように自分の体を抱き締めてそう言った。

 あの日から、黒のスラム街を白騎士が走り回る音がよく聞こえていた。きっと、雪香とシュリに刺されて死んだ白騎士を襲った犯人を探しているのだろう。けれど、誰も目撃をした者がいるわけでもなかった。
 そのため、白騎士も誰を探せばいいのかわかっていないようだった。きっと、服に血が付いているものを適当に撰んで犯人にして、殺してしまうのだろうとシュリはわかっていた。

 そんな事があり、レイトは雪香を殺した白騎士を酷く怖がってた。そんのため、ここに一人で残るのは恐ろしく怖いのがわかった。


 「けど、おまえは白蓮に行けないだろ。紋章確認する時点で見つかったら殺されるぞ。」
 「…………。」
 「俺だって白蓮なんか行きたくないんだ。すぐに戻ってくる。」
 「僕たち、刻印が逆ならよかったのに………。」
 「そう、だな。」


 レイトが言ったことは、シュリもよく思っていた事だった。
 もし、レイトが白蓮であれば喜んで白蓮の家に行っていただろう。レイトは強く白蓮に憧れていた。
 そして、シュリは白蓮が更に嫌いになっていた。雪香の話を聞いたり、そしてその彼女が白蓮が所有する白騎士に殺されてしまったのだ。
 シュリは、自分の刻印を切り取ってしまいたいぐらいに憎かった。


 刻印の交換。それが出来たらどんなにいいのか。
何度も思ったことだった。

 そして、次の日。
 怖がるレイトに予備の短剣を渡した。そして、この家から出ないこと。でも、危ないと思ったら躊躇せずに逃げることを何度も伝えた。


 「夜になる前に帰る。何かおいしいものを持ってくる。」
 「………気を付けてね。シュリ……。」


 まだ不安そうにしていたレイトだけれど、短剣をしっかりと握りしめて、シュリを送り出した。あいつは大丈夫だろう。剣の練習でも、シュリと対等に渡り合えるようになっていたので、白騎士が来ても戦えると、シュリは思っていた。


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