虚愛コレクション


それでもこうしていても、やはりこの人に対しての興味だけは薄れそうになく、同時に漸く不安因子を投げ掛ける。

だって私はその行為が初めてで、だからこそまだ躊躇していたのだ。もちろん戻る気などもうない為に、最低限の布石を打ったのだ。

戻ってまた清くて良い子を演じるなど到底馬鹿らしい。


「透佳さんって、相当上手い人ですか?」

「さあ?どうだろ。ただ……初めてでも優しくはしてあげないけどね」


“だって、煽ってきたのはあんただし”


笑いもしない無表情と共に告げられ、ゾクリと体が震えた。取り繕いもせず、何処までも正直なこの人はきっと私が求めていた人他ならなかった。

不安でも躊躇っていても足は動いた。ただ進むだけだった。



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