虚愛コレクション


――


「あのね。クリスマスプレゼント買うの付き合ってほしいの」


と、テスト最終日にそんな申し出をしてきた千代。

頭にはなかったけれど、そうか。クリスマスか。

その日に何かしようとか予定を立てる事すら億劫で頭に追いやっていた。

思い返せば誰かに誘われたような気がするけど、特別に仲がいいような友達でもなかったため「考えとくね」とだけ言ったような気がする。

そんなイベントがあるからか、気持ちが高揚しているかのように見える千代は、いつもより笑顔でいつもより可愛い彼女になっているんじゃないかな。なんて。

チラリと西君の席を見ればどうやら一人で帰ってしまうようで、私と目が合えば手をヒラリと振って教室から出て行ってしまった。

なるほど。と勝手に納得を浮かべて笑って見せる。


「いいよ。千代と寄り道するの、久しぶりだしね。行こっか」

「うん!ありがと祈っ」


西君の様子から、あらかじめ私と帰るように伝えてあったんだろうな。

そうじゃなきゃいつも一緒に帰っているのに、別々に帰るだなんてあり得ないもの。




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