【短完】だからどうか笑ってて
やまない雨

心side

今日は、最後のデートにするって決めていた。

『雨、降ってきちゃったね、翔真(しょうま)。』

「ああ。」

私、心(こころ)は彼氏の翔真と共に喫茶店から止まない雨を眺めていた。

いつもは、優しく微笑んで目を合わせてくれる翔真がぼんやりとしている。

『……翔真、どうかした?』

「あっ、いや、なんでもない。悪ぃ。」

『ううん、大丈夫。』

「これから、どうすっか。」


雨も降ってきたし、どこに行こうか、という話なのだろう。

まだ雨が降れば肌寒い季節で、頭が少し痛くなる。

外の雨も、結構激しいので、いくら傘を持ってきたと言ってもこの喫茶店内を出ないのが賢明な判断だろう。

外にある植物が、雨粒を受け葉が弾んだ。

「ここで、雨宿りすっか。」

微笑んだ、翔真。

それに、

『……翔真、話があるの。』

否定も肯定もせず、話題を変える。

自分勝手だけど、許してね?


翔真の問いかけを無視したことも、


『別れて』


私の、ワガママも。

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