ふたりごと
『…話はこれで終わり。
クラスメイトからのいやがらせは卒業の日まで止まらなかったし、陽菜ちゃんとはその後一度も話してない。
今日の朝教室で彼女たちが言っていたこととは少し違うかもしれないけど、でもわたしが親友だった女の子の大切なものを奪ったっていうのは本当のことだよ。
きっかけは陽菜ちゃんにあったとしても、わたしは確かに陽菜ちゃんから桐谷くんを奪い、陽菜ちゃんの優しい笑顔を奪った。
最低な人間な、の…』
最後の言葉を口にした瞬間、体が直人君の腕の中に収まるのを感じた。
わたしは抱きしめられていた。

