終わりにした夫婦

···二人の過去②


大学の法学部に在籍していた羽叶さんと
音楽科に在籍していた瑛里子さん

ピアノ科に凄くピアノの
上手な子がいると
学生の中で噂があった。

友人に連れられて、
その人のピアノを聴きに
ピアノ科にいくと
凄い人だかりができていた。

そのピアノの音色に
羽叶は、心がふるえた。

瑛里子も法学部に
頭の切れるイケメンがいると
聞いていた。
そして二人は、出会い恋に落ちた。


大学時代二人は、何度も別れては・・
・・・元の・・さやに・・・

そんな付き合いを続けていたが

大学を卒業して
瑛里子さんは海外へと。

海外で最低二年勉強する瑛里子さんと
司法試験勉強中の羽叶さん・・

遠距離ですれ違いが多く
何度も別れを考え話し合ったが
お互いに・・別れきれず・・

羽叶さんが弁護士となり
弁護士事務所に
勤務するようになる頃
瑛里子さんも帰国し
二人は結婚するかと
思っていたが・・・・

瑛里子さんが、
有名なロンドン交響楽団から声がかかり
そちらに入る事になった。

そのときも、別れの話がでたが
二人は遠距離で付き合いを続けた。

羽叶さんは、時間を見つけては
ロンドンへ行き
何ヵ月かに一度会う恋人達は、
逢瀬に燃え・・・
そんなときに瑛里子さんは
自分が妊娠していることに
気づいた。


そして、
羽叶さんに相談することなく
子供を·····おろした·····

そして、その事を羽叶さんに
知られたくなくて
瑛里子さんは、リサイタルやコンサートが
忙しいといって、何ヵ月も
羽叶さんをさけ続けた・・・・

その理由を羽叶さんは、
ロンドンで知ることになった。

瑛里子さんの部屋の片隅に落ちていた
一枚の紙に・・かかれていた。
手術の同意書・・・

瑛里子さんが、
自分のアバートメントに
帰ると真っ暗の部屋の中に
羽叶さんは、その紙を握りしめて
座っていた。

瑛里子さんは、
何度も謝ったが、
羽叶さんは何も語らずに
日本へ帰国した。

それから瑛里子さんが
何度も羽叶さんに連絡をとるが
繋がらず、日本に戻ると
彼は引っ越しをして
弁護士事務所も辞めていた。

瑛里子さんは····やっと·····
自分のしたことの····大きな····罪に
気づいてショックを受けた。

それが原因なのか
ストレスからピアノが弾けなくなり
ロンドン交響楽団もやめた。

瑛里子さんの
そんな状態を
省吾さんは友人から聞き
悩んだ末に
羽叶さんに話をした。

どうするかは·····
羽叶さんが決めたら良いと。

羽叶さんは、一年悩み
瑛里子さんの元へ向かった。

ロンドンで弁護士の仕事を
勉強しながら手伝い
瑛里子さんに寄りそった。

瑛里子さんが回復するのには
三年ほどかかり
ピアノが弾けるようになるまで
更に二年がかかった。

瑛里子さんは、
小さなオーケストラに入り
ピアノを必死で弾いた。

元からピアノの才能が高い
瑛里子さんは、
直ぐに才能を開花させた。

瑛里子さんが、本格的に復帰したのを
見届けて羽叶さんは、
瑛里子さんに別れを告げた。

瑛里子さんは、別れを認めず
羽叶さんが自分から離れるなら
ピアノも一生弾かないと騒ぎ
自分の手を痛め付けようとした。

そんな瑛里子さんの姿に羽叶さんは、
その後も瑛里子さんの
そばにいることにした。

献身的に自分につくす羽叶さんに
瑛里子さんは、結婚を持ち掛けるが
羽叶さんは、一度も返事をせず。

瑛里子さんも羽叶さんには
自分との未来はない····と
気持ちは·····ないんだ···と
わかって·····
やっと別れる事に同意した。

それが、今から10年前かな
日本に帰ってきた羽叶は
精も根も疲れはてていて
ゆっくり····ゆっくり····と
元の生活に戻していき
今の事務所に入って
今に至っている。

「だから、あの二人には
恋愛感情とかは無いよ。

あるとしたら、
腐れ縁····もしくは····昔の友達····かな」
と、省吾さんは言った。

「でも、だからといって
亜子ちゃんに連絡もせずに
二人で出かけて良いわけではないし
まして腕を組んで歩く必要もないから
亜子ちゃんは、怒っていいんだよ。」
と、葵さんは言ってくれた。

だが·····亜子··は······
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