裏切り者の君へ
「でも……雪也は自分から落ちたようにも見えた」

「うん……」

「來夢?」

 将樹は振り返った。

 來夢はいなかった。

「來夢!」

 それが最後だった。

 2度と來夢が将樹の元へ戻ることはなかった。



 

 春が終わり、夏が来た。

 秋は駆け抜けるようにして去り、冬が訪れる。

 來夢は車窓から降りしきる雪を見つめた。

 その駅に着いた時、辺りはすでに薄暗くなっていた。

 真白なホームに來夢は降り立った。

 乗って来た最終電車は吹雪を搔きわけるようにして走り去っていく。

 誰もいないホームに來夢はたたずむ。

 來夢の足跡の軌跡の他にもう1つ足跡があった。

 それは改札から入ってきて、ホームの先端、少し手前で立ち止まっていた。

 あの日、雪也が立っていた場所だった。

 來夢の足跡とは違う大きな足跡。

 次から次へと雪はホームに降り積もるのに、いつまでもその足跡は消えなかった。

 來夢はその足跡の上に自分の足を乗せた。

 雪也を辿って歩く。

 ホームの先端まで来ると來夢は立ち止まった。

「雪也ただいま、わたし帰ってきたよ」


 

 町の人が來夢の姿をホームに見たのが最後だった。

 それを最後に來夢の消息は途絶えた。



 それから7年後、來夢の失踪宣告が認められた。




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