パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
「まあ、いいじゃないの。
 まだ結婚したばっかりなんだから。

 またゆっくり頑張りなさいよ」
と肩を叩かれる。

「……でも、なにかこう、怖くて真実が確かめられないっていうのは、ちょっとわかるんだけどね」

 そう、らしくもないことを日向子は言い出した。

「夜、圭太のところに行ったらさ。
 庭の隅で、火を焚いてたのよ」

 まだやってたのか。
 暑いのに……。

「もしかして、私との結婚が嫌で、火に飛び込もうとしてるんじゃないかとか思っちゃったり」

 いや、ちっちゃな焚き火ですよね……。

「圭太が私を好きでないのは知ってるけど。

 結婚して、やってくうちに、ちゃんと夫婦になれそうなくらいには思ってくれているのか。

 それとも、私の顔を見るのも嫌なくらい、私との結婚を嫌がっているのか。

 もう、気になって、気になって、気になって」
と日向子は青ざめる。
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