リライト
リライト 2


思い起こせばそう、初めて彼と出会ったのは桜吹雪舞う暖かい春の日のこと。
あたしが新入社員研修の担当になって、点呼を取っていた。

「はい、えっとあなたは…。貴志くんだよね?はじめまして、わたしは…」

「………」

「? どうかした?」

「…あの不躾ながら桜井先輩、スカートのホック開いてますよ。恥ずかしいー」

「えっ!?うっそ…!」

「なんちゃって。嘘でーす」

今思い出しても出会いは最低で腸が煮えくり返りそうになる。
初めて会った時からこんな調子で爽やかな笑顔と紡ぎ出される毒の数々(それもあたしにだけ!)、日々の過ごしも罵りあいから始まり顔を合わせる度に笑顔で嫌味の応酬。
それがずっと続いてきたものだからこそ、唐突な彼の言葉と行動がまるで夢現のようで真意何処にあるのか疑問で仕方がない。
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