溺愛総長様のお気に入り。
煌くんは、また甘えたような声を出してあたしの髪をすくうと、毛束を指に絡めくるくると回す。
えーっと。
今日も話が通じないみたい。
いじられる髪をそのままに、あたしは密かに肩を落とした。
こんな煌くんに慣れてしまったあたしも、あたしかもしれない。
それにしても、よくお母さんは初対面の煌くんを家に入れたなぁ。
しかも、"彼氏"……って言ってたけど。
「あ、あの……お母さんには、なんて言ったんですか?」
諦めて質問を変える。
「彼氏だって言った」
うわ、ほんとにそう言ったんだ……!
「いずれそうなるんだからいいだろ?」
そうも付け加えて。
「いずれって……」
あたしがいつ付き合うって言ったんだろう。
煌くんは、よく言えばマイペース。
悪く言えば自分勝手だ。