溺愛総長様のお気に入り。
なぜなら、体力テストは二人一組で行われるんだけど、そのペアが男女だから。
『せっかく共学になったんだから、お互い仲良くなれるといいわね。ふふふ~』
という、体育の先生の意味の分からないたくらみのせいで。
もうほんと、頭いたい……。
ペアはあらかじめクジで決まっていて、あたしは井上くんという人とペアになっていた。
隣のクラスの男の子だから、どんな人かさえも分からずドキドキ。
怖い人じゃないといいな。
……って、煌くんより怖い人はいないか。
「はーい、じゃあペアになってー」
先生の声でみんながぞろぞろと動き出した。
ジャージの胸に縫い付けられた名前をたよりに、みんなは相手を捜していく。
あたしも同じように井上くんを捜す。
えーっと、
井上んくん……井上くん……。
きっと、相手もあたしを捜してくれているはずだよね?だとすれば、すぐに見つかるはず。