溺愛総長様のお気に入り。


見えるものすべてをこの手で壊してしまいそうな衝動にかられ、きつく目を閉じた。



「このまま降伏すれば、お姫様は無傷で返してやってもいいが─」



……っ。



「下手に動いたら、鳳凰の姫は綺麗な身体で帰れないと思え」


「波佐間ぁーーーーーーっ!」



こんな汚いことする族は一つしか思い当たらない。


電話の相手はソイツだと確信し、名前を叫んだ。


元黒羽高校と同じ区域に位置する、同レベルの不良高校のトップを張る男だ。


チームの人数は多くないが、やることが姑息でかなり面倒くさい集団。


鳳凰は相手にしているつもりはないが、売られた喧嘩は買う主義の鳳凰。しょっちゅう波佐間とは顔を合わせていた。


黒羽が合併してから、大人しくなったと思っていたら……クソッ。

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