ツインテールの魔法

「紘みたいに前か後ろを歩くんじゃなくて、隣に立とうって思ったんだ。ノンちゃんは、どこか一人で抱え込んでるような、抱えなきゃいけないと思ってるような気がして……だから、そうじゃないよって教えただけ」


蒼羽の考え方は麗の心に響いた。
その通りだと思ったし、自分もそうしたいと思った。


「まあ……ノンちゃんがそう受け取ってくれたかはわかんないし、実際に乗り越えたのはノンちゃんなんだけどね」


蒼羽は苦笑する。

その蒼羽を見て、なんとなく、紘よりも夏音にふさわしいと思ってしまった。


「都築くんは勇者ね」
「というと？」


話の流れを無視したことを言ってしまったせいか、蒼羽は首を傾げる。


「あの桃城紘を敵にするのでしょう？勇者としか言えないわ」
「知ってるんだ」


それは夏音と紘の関係のことを聞いているのか、紘の夏音に対する想いのことを聞いているのか……それとも両方か。
両方だと判断した上で、麗は紘を嘲笑した。


「双子ではないということくらいしか知らないけれど、あれほどはっきりと態度に出しているのよ？わからないほうがおかしい」
「ですよねー。やっぱり勝ち目ないかな？」


自虐的に笑う蒼羽が妙に気に食わず、麗から笑顔が消える。