ツインテールの魔法

「……なにをどうしたらそのオリジナリティ溢れる髪型になるのかな?」


そう言わずにはいられなかった。


「そんなに変なの?」


紘の腕を信じているがゆえか、夏音は鏡を見なかったらしい。


「とりあえず電車に乗ろっか。ノンちゃんの髪、そこで整えてあげる」
「やった!あのね紘くん、蒼羽くんね、すごく上手なんだよ!」


無邪気にはしゃぐ夏音の横で、紘が顔を顰める。

蒼羽はドヤ顔をして見せた。
すると、紘は綺麗に舌打ちをする。


「……リラに会いに行くんだろ」
「そうだった!蒼羽くん、行こ!」


紘の見事な話題転換により、夏音は蒼羽の腕を引いて駅に入った。
その姿は出会ったころの夏音を思い出させる。


「ノンちゃん、ハーフアップでいいの?」


電車に乗ると、二人は並んで座った。
その前に紘が立つ。


「……あのね、蒼羽くん……ハーフアップってなに?」


振り向いた夏音は、本当にハーフアップを知らないようだった。


「知らないのかよ……」
「紘くんが練習したいって言ったから、お任せしたの」


紘の行動が信じられず、蒼羽は紘の顔を見上げた。
だが、紘は気付かぬフリをして流れる景色を見ていた。


「……わかった。じゃあ、どんな髪型にする?」
「うーん……リラに気に入られる感じで!」
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