ツインテールの魔法

闇に消え入るような声で言われた言葉で、蒼羽は空奈の視線と合うように空奈の前にしゃがむ。


「初めて素直になれたんじゃない?」


視界に入った蒼羽の笑顔が、勝ち誇ったような笑顔に見えて仕方なかった。
空奈は蒼羽の両頬をつねる。

それは痛くなくて、蒼羽は空奈の行動に疑問を抱いたまま空奈を見つめる。


「……蒼羽のくせに」


涙を浮かべて微笑む空奈を、蒼羽は初めて悪魔の印象を覚えなかった。


「素敵な姉弟愛だね」
「……ああ」


いつの間にか夏音の横に立っていた紘に、夏音は笑いかける。


その笑顔に深い意味はないとわかっているが、家族への憧れを感じた紘は、曖昧な返事しか出来なかった。


「さてと。姉ちゃんは当然、ステージに立つよね?」
「誰だと思ってるの」
「泣きむ」


蒼羽の言葉を遮るように空奈は蒼羽の口を塞ぐ。


「なんて?」


蒼羽は首を横に振る。
空奈は蒼羽から手を離すと、夏音のほうを見た。


「ごめんね、夏音ちゃん。無理矢理呼んだ上に変なことに巻き込んじゃって」
「いえいえ。気にしないでくださいです」


そして四人は時間になるまで空奈の家で過ごし、今日空奈が出る会場に向かった。
< 146 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop