ツインテールの魔法

「これ……ミステリーじゃないね」


一ページも読み切らないで、そう呟いた。
読むことをやめたのか、一枚一枚簡単に目を通す。


「ミステリーって謎が存在すればいいってだけなの。その謎をどうするかでさらにジャンルが分けられる。なんていうか……幅広い」


全て捲り、今度は親指でパラパラと、何度も繰り返す。


「みんなが思ってるミステリーは、推理小説がメインだと思う。探偵か刑事みたいな役割のキャラがいて、謎を解く。でも、そうしなくてもミステリーって言えるんだ」
「へえ。で?なんでこれはその幅広いジャンルに属さないの?」


蒼羽が夏音の手から原稿を取り、小説を読む。


「ちゃんと小説じゃん。普通に面白い」
「でも、ミステリーじゃない」


蒼羽と夏音が睨み合う。
だが、すぐに小豆が間に入った。


「ストップ。ノンちゃん、どういうことか説明してくれる?……というか、それ書いた人に直接説明してほしい、かも」


小豆は申しわけなさそうに笑う。
今夏音に説明してもらっても、それをそのまま書いた本人に説明できる自信がなかったのだ。


「……わかった。紘くん、ノンがいない間に出し物決めないでね」


夏音は蒼羽から原稿を奪うと、小豆を置いて部室を出た。
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