あなたの名前は忘れたけれど。
リビングで飯を食う父と母の目を見て、俺はそう言った。


薬で少しぼんやりする頭と視界。


けど、その先で。


オヤジも母さんも、泣いてたっけなぁ。


懐かしいな。

あの2人は、今でもあのコンビニに行ってんのかなぁ。


ふと、学校の窓から見える俺のかつて働いていたバイト先の看板が見えて思い出した。


今日、夜寄ってみっかなぁ。


会えたら、声をかけよう。

俺から、絶対。


覚えてなくていい。


俺が覚えてる。


ありがとうございますって、伝えたいだけだから。

お陰で俺は、1人じゃねぇんだなって、実感出来たから。


< 124 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop