お前なんか×××!!!
そのお陰もあって、大学は、キャンパスライフを満喫。

するはずだった。

それなのに。

無意識に、気配を感じると、身構える始末。

かと思えば、仁に似た人に声をかけてみたり。

「私は今、この時を満喫しに来たんだから」

自分に言い聞かせ、キャンパスライフを満喫した。

男女問わず友達も出来、サークルも勉強も飲み会も。

何もかもが新鮮で楽しかったはずだった。

…それなのに。恋は出来なかった。

この人だと思える人がいなかった。

片想いも、両思いも、恋人も、キスも、その先も。

憧れは、憧れでしかなかった。

4年なんて、あっという間に過ぎていき、私は大手IT企業に就職した。

「新しく入りました、三浦楓です。一生懸命頑張ります。宜しくお願いします」


私の挨拶に、一同が、笑顔で拍手してくれる。


「寺崎仁です。宜しくお願いします」


…テラサキジン?はて、どこかで聞いた名前。

まさか、まさか。同じ会社に就職するなんてそんな奇跡みたいなことあるわけない。

私は、隣に立つ、長身のスーツの男性社員の顔を見上げる。

「…」
「…よう、…4年ぶり」

「…?!!!!!」

やっと、逃げたはずなのに、こんなことってない。

私は顔をひきつらせ、呟いた。

「…お久しぶりです。寺崎さん」

顔をそらすしかなかった。
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